アカヤジオウ
- 科名
 - ゴマノハグサ科
 - 学名
 - Rehmannia glutinosa Libosch var. purpurea Makino
 - 生薬名
 - 地黄(じおう)
 - 薬用部位
 - 根
 - 主要成分
 - イリドイド配糖体
 - 作用
 - 補血、強壮
 - 用途
 - 漢方(八味地黄丸、十全大補湯、四物湯など)
 
根の部分を血の巡りが悪かったり、貧血気味な体質の人への漢方薬に配合します。夏の間じゅう花が咲いて葉が茂ってきます。
 アマ
- 科名
 - アマ科
 - 学名
 - Linum usitatissimum L.
 - 生薬名
 - 亜麻仁油(あまにゆ)
 - 薬用部位
 - 種子からえた油
 - 主要成分
 - 不飽和脂肪酸
 - 作用
 - 用途
 - 亜麻仁油、乾性油
 
オメガ3系列の脂肪酸を多く含むアマニ油原料となる植物です。花は6月頃、朝開き昼ごろには散り始めるので、花を愛でるなら午前中です。
 ジギタリス
- 科名
 - ゴマノハグサ科
 - 学名
 - Digitalis purpurea L.
 - 生薬名
 - ジギタリス葉
 - 薬用部位
 - 葉
 - 主要成分
 - digitoxin
 - 作用
 - 強心
 - 用途
 - digitoxinの原料
 
5月中下旬を中心に花期を迎えます。写真の右側は花の拡大写真です。袋状の花で狐の手袋(fox glove)という別名もあります。葉は心筋の収縮力を増し心不全の治療薬(強心薬)となるジギトキシンを含みます。強心薬は作用が強力で投与量の調節が難しくて中毒を起こしやすい薬なので、現在は葉を直接患者に投与することはなく、ここからジギトキシンを抽出して強心薬の製造原料として栽培されます。
 シナマオウ
- 科名
 - マオウ科
 - 学名
 - Ephedra sinica Stapf
 - 生薬名
 - 麻黄(まおう)
 - 薬用部位
 - 地上茎
 - 主要成分
 - ephedorin
 - 作用
 - 中枢興奮、鎮咳
 - 用途
 - 漢方(葛根湯、麻黄湯、小青竜湯など)
 
乾燥地の植物で、葉からの水分の蒸発を抑えるため葉がなく、地上は茎だけの植物です。5月中旬に黄色の花が咲き、約1ヶ月後に赤い水分の多い果実(写真の右側)を付けます。薬効成分のエフェドリンは気管支拡張作用や中枢興奮作用など比較的作用が強い成分です。葛根湯など体力のある人の風邪症状の改善を目的とした漢方薬によく配合されます。
 シャクヤク
- 科名
 - ボタン科
 - 学名
 - Paeonia lactiflora Pall.
 - 生薬名
 - 芍薬(しゃくやく)
 - 薬用部位
 - 根
 - 主要成分
 - paeoniflorin
 - 作用
 - 鎮痙
 - 用途
 - 漢方(葛根湯、芍薬甘草湯、当帰芍薬散)
 
5月の連休明けから1週間ほど花が咲きます。根に含まれるペオニフロリンという成分が筋肉のこりを取り、血行を良くする作用をもちます。筋緊張の改善や女性の冷えの改善を目的とした漢方薬によく配合されます。白の一重の花のものが原種に近いものです。写真のピンク色や八重咲きの花のものは観賞用に改良されたものですが、花の色や形と薬用部位である根の品質とは関係ないそうです。
 ショウブ
- 科名
 - ショウブ科
 - 学名
 - Acorus calamus L.
 - 生薬名
 - 白菖(はくしょう)
 - 薬用部位
 - 根茎
 - 主要成分
 - 精油
 - 作用
 - 鎮痛、鎮静、健胃
 - 用途
 - 葉は浴剤
 
5月中旬から下旬にかけて写真のような花穂が付きます。地下茎は、気分を落ち着かせる作用を目的に浴剤として用いられます。葉を端午の節句の菖蒲湯に用いますが、葉をお風呂に入れるのは邪気を払うおまじないです。アヤメのような華やかな花の花菖蒲はアヤメ科の全く別種、写真のような地味な花がショウブの花です。
 シロバナムシヨケギク
- 科名
 - キク科
 - 学名
 - Chrysanthemum cinerariaefolium Vis.
 - 生薬名
 - 除虫菊(じょちゅうぎく)
 - 薬用部位
 - 頭花
 - 主要成分
 - pyrethrin類
 - 作用
 - 殺虫剤
 - 用途
 - 蚊取線香の原料
 
蚊取り線香の原料。5月中旬ごろに花が咲き、その花を乾燥させて粉にして、タブ粉などでかためて蚊取り線香をつくります。1980年代に殺虫成分を安価に化学合成できるようになったので、それ以降の市販の蚊取り線香のほとんどが合成成分から作られ、植物から作った蚊取り線香は天然志向の人のための高級品としてのみ流通しています。
 スペインカンゾウ
- 科名
 - マメ科
 - 学名
 - Glycyrrhiza glabra L.
 - 生薬名
 - 甘草(かんぞう)
 - 薬用部位
 - 走行茎、根
 - 主要成分
 - glycyrrhizin
 - 作用
 - 抗炎症、甘味
 - 用途
 - 多くの漢方薬、甘味料
 
花期は5月下旬。地下茎や根が文字通りとても甘く、抗炎症作用もあるので多くの漢方薬に配合されます。含まれるグリチルリチンがとても甘いためで、このグリチルリチンや甘草の抽出物は食品の甘味料にも使われます。
 ダイダイ
- 科名
 - ミカン科
 - 学名
 - Citrus aurantium L. var. daidai Makino
 - 生薬名
 - 枳実(きじつ)、橙皮(とうひ)
 - 薬用部位
 - 未熟果実、成熟した果皮
 - 主要成分
 - フラボノイド配糖体
 - 作用
 - 苦味健胃、芳香健胃
 - 用途
 - 漢方(大柴胡湯など)、健胃薬
 
花期は5月下旬。果実が登熟した翌年まで丸1年以上落果せず、翌年の果実と同時に木になっている様が世代の引き継ぎをしているようなので、代々=ダイダイと名前がついたとされています。写真は5月の開花期のもので、花の隣の橙色の果実は前年に成熟した果実です。未熟果実や果皮がとても苦いので苦味健胃薬として用いられます。
 トウキ
- 科名
 - セリ科
 - 学名
 - Angelica acutiloba Kitagawa
 - 生薬名
 - 当帰(とうき)
 - 薬用部位
 - 根
 - 主要成分
 - 精油(フタリド類)
 - 作用
 - 駆瘀血
 - 用途
 - 漢方(当帰芍薬散など)
 
セリ科の植物の特徴で、傘の形にたくさんの小花がつく散形花序の花が、5月下旬から6月にかけて咲きます。生薬としては根が用いられ、血行不良や貧血などの改善を目的に、女性の冷え性や生理に関連するトラブルに用いる漢方薬によく配合されます。
 ドクダミ
- 科名
 - ドクダミ科
 - 学名
 - Houttuynia cordat Thunb.
 - 生薬名
 - 十薬(じゅうやく)
 - 薬用部位
 - 花期の地上部
 - 主要成分
 - フラボノイド
 - 作用
 - 排膿、消炎、利尿など
 - 用途
 - 漢方(十味排毒湯)
 
5月中旬頃に花期を迎えます。花の白いところは花弁でなくがく片。花は中央の花穂についている黄色い小さな一つ一つです。薬用部である地上部を煎じて飲むと便秘の改善や利尿作用があり、生の葉を炙って出てきた汁を虫刺されなどの外用にも使えるなど、多彩な使い方ができるので十薬という名前がついているとされます。身近な薬草でいろいろ使い方があるということで、3大民間薬の1つです。
 ベニバナ
- 科名
 - キク科
 - 学名
 - Carthamus tinctorius L.
 - 生薬名
 - 紅花(こうか)
 - 薬用部位
 - 花弁
 - 主要成分
 - carthamin
 - 作用
 - 駆瘀血
 - 用途
 - 色素、漢方(通導散など)
 
5月下旬に花期を迎えます。咲きはじめは黄色ですが徐々に赤くなり、その赤くなった花弁を収穫し、女性の血行不良などの改善の薬として用います。黄色の色素を洗い流して固めたものを紅花餅といい、その昔はそれを口紅としました。
 ベラドンナ
- 科名
 - ナス科
 - 学名
 - Atropa belladonna L.
 - 生薬名
 - ベラドンナ根
 - 薬用部位
 - 根
 - 主要成分
 - atoropin、scopolamine
 - 作用
 - 鎮痙、鎮痛、散瞳
 - 用途
 - 副交感神経遮断薬、鎮痙薬、散瞳薬
 
5月下旬に花が咲きます。ナス科チョウセンアサガオの仲間で、アトロピンなどの薬効成分は、強力な副交感神経遮断作用があり、食べると命に関わります。散瞳薬など医療でよく用いられる重要な薬の原料となります。