「弟子たちは、イエスに命じられたとおりにして、過越の食事を準備した。夕方になると、イエスは十二人と一緒に食事の席に着かれた。一同が食事をしているとき、イエスは言われた。『はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。』弟子たちは非常に心を痛めて、『主よ、まさかわたしのことでは』と代わる代わる言い始めた。」
(マタイ 26:19-22)
この窓は、イエスが裏切りを宣言された瞬間を物語っています。イエス上部の暗闇は、やがて彼を呑み込もうとする死を暗示し、イエスの右のヨハネと、左のヤコブと、真下のペトロとは一つのグループとして描かれ、とくにペトロがイエスの直下に描かれているのは、彼の指導的地位のためです。
彼らは「主よ、まさかわたしのことでは」と言っています。ペトロの下には、イエスを裏切ったイスカリオテのユダが暗闇を見つめ、財布を掴んだ彼の首には、後に首をくくって自殺する紐が暗示的に描かれています。
ペトロの後ろにはフィリポ、ヨハネの後ろにはアンデレ、その下には懐疑的なトマス、じっと冷静に事態の推移を見守るマタイとバルトロマイ。大きく手を広げている熱心党のシモンは、ヤコブの子ユダに「お前ではないのか」と言っているようです。それを心配そうに見つめているのがアルファイの子ヤコブです。