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生薬標本室には日本薬局方に収載されている生薬の他、中国市場品生薬、愛知万博EXPO 2005シンガポール館、ブータン館からご恵与いただいた生薬など約300種の生薬が展示されております。
講義の教材として利用しているほか、人類の歴史の中での自然界との強い結びつきと、愛知万博の精神である「自然の叡知」を肌で感じられる場所となっております。
生薬標本室はW10号館地下1階エレベーターホール前にあります。標本室前壁面と標本室内には愛知万博EXPO 2005シンガポール館から寄贈された生薬棚が設置されており、万博開催当時さながらに生薬を展示しております。
オープンキャンパス、金城祭などのイベント時に内部を公開しております。
展示生薬のご紹介
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株式会社ツムラから寄贈の生薬標本
日本で市販されている医療用漢方薬の原料となる生薬の標本で、株式会社ツムラさんから寄贈されたものです。標準的な生薬の色、形、匂いを学修する教材となります。
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名古屋で市販されている生薬
講義で登場する生薬を中心に、名古屋の生薬問屋で入手ができる生薬約80種類をストックしています。教材として希望者に配布するとともに、学生自らが生薬を確認しながらこれらを調合し、煎じて漢方薬の味を体験できるようにしております。
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珍しい生薬・希少生薬
日本でもあまり流通していない生薬、資源の希少性や動物愛護の観点などから将来取引されなくなる可能性のある生薬、すでに流通していない生薬などを展示しています。写真は展示物の例です。
右 サイカク(犀角:サイの角)とそれを削るためのサメの皮を貼った板
左上 エントウソウ(猿頭霜:サルの頭蓋骨の蒸し焼き)
左下 カイバ(海馬:タツノオトシゴ)
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日本各地の民間薬
日本各地の中小業者は生薬を利用した伝統的な民間薬を販売しています。しかし、近年、製薬会社間の競争や新しい医薬品の登場、原料生薬の価格高騰、動物生薬の入手の困難さなどの要因で、小さな業者の廃業や製造打ち切りが目立つようになってきました。良い薬も多いので、現存の伝統薬を知ってもらう目的で蒐集・展示しています。写真は展示物の例です。
上段左から 赤茂傳:茨城県常陸太田市・川又薬局、橋本七度煎(2017年製造終了):愛知県南知多町・橋本七度煎、亀田六神丸:京都市・亀田利三郎薬舗、神命湯:鹿児島県南さつま市・青木流芳院
下段左から 日野実母散:滋賀県日野町・日野薬品工業、感應丸:富山市・廣貫堂、ういろう:小田原市・外郎藤右衛門、萬金丹:伊勢市・伊勢くすり本舗
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愛知万博展示の生薬
2005年に開催された愛・地球博のシンガポール館で展示されていた生薬を展示時の棚ごと寄贈いただいたものです。中国系住民の多いシンガポールでは中国伝統医学である中医学もよくりようされるとのこと。現代医学の文化との融合というコンセプトで展示されておりました。中国と日本とでの生薬の同じところ・異なるところが興味深いです。
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葛根湯に配合されている生薬
葛根湯に配合されている生薬です。生薬学の講義の一番最初に学修する7種類でもあります。
左端からカンゾウ(甘草:ウラルカンゾウまたはスペインカンゾウの根または地下茎)、シャクヤク(芍薬:シャクヤクの根)、中央上からケイヒ(桂皮:シナモンの樹皮)、ショウキョウ(生姜:ショウガの地下茎)、タイソウ(大棗:ナツメの果実)、右端からマオウ(麻黄:シナマオウの地上茎)、カッコン(葛根:クズの根)