学長挨拶

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金城学院大学 学長

小室 尚子

2024年、金城学院は、創立135年、そして大学設立75年目を迎えます。

金城学院は、米国南長老教会の宣教師であったアニー・ランドルフが中国から帰国の途中、名古屋に立ち寄った際、女子教育の遅れを憂い、福音主義キリスト教に基づく女性の人格教育の必要を感じ、私財を投じて1889年(明治22年)に創立された学校です。生徒3人で始まりました。

先人たちが一貫して主張してきたことは、キリスト教の正典である聖書の教えに基づいた全人教育を行うことです。それによって、神の愛を知り、隣人を愛して、世界の平和に貢献することができる自立した女性を社会に送り出すことを本学の教育の目的としています。この精神を受け継ぎ、豊かな知性と能力を身につけた、社会をリードする女性を輩出することを目指しています。

そのための具体的な方策として、教育面では、資格取得に役立つ科目をはじめ、充実したカリキュラムを配置しています。生活面では、学生生活全般の相談が出来るアドバイザー制度であるとか、とくに職業についての相談窓口としてキャリエールを設けていますし、奨学金制度や、健康面も含めいろいろな支援体制を整備しています。また、金城学院大学では、KIDSセンターや女性みらい研究センターといった、大学を卒業してからも自分を成長させることができる場所や講座や相談窓口を設けています。

金城学院のスクールモットーは「主を畏れることは知恵の初め」(旧約聖書箴言1:7)、そして金城学院大学の教育スローガンは「強く、優しく。」です。
教育スローガン「強く、優しく。」は、本学の建学の精神と教育方針を分かりやすくイメージしたものですが、その根底にあるものは、「福音主義キリスト教に基づく女子教育」ということです。本学では学びのプロセスを通じて、広い教養、高い専門的知識、あるいは的確な技能などを身につけることができます。これらは社会に出て行ったときに大きな力になると思います。これは、強さです。少子高齢社会において女性の社会進出に対する要請は今後ますます強まっていくことでしょう。社会で活躍するためには皆さんが持っている内なる強さを、知識や技能によってさらに磨いて真の強さを身に着けることが大切です。それと同時に、他人をいたわり思いやる心がなければ社会の中で生きてゆくことはできません。これは、優しさです。この優しさは、家庭生活という面でも、子どもを育てるなど大切な働きにおいても発揮されるでしょう。キリスト教に基づく教育は、これらの二つを合わせ持つ人を育てます。

人間はどれほど努力しても自分の力だけでは完全なものにはなりえません。完全なものとなろうとする努力は尊いことですが、かりに、完全を獲得したと思っても自然災害や想定外のことが起こったとき、無力さを思い知らされます。それを乗り越えるには、弱い自分にも命を与え、生かされる全能の神がおられることに目を注ぐことです。そこが真の強さ、真の優しさを得ることができる原点です。

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