生活環境学部食環境栄養学科の薗田邦博准教授は、亜硝酸塩(Nitrite)や一酸化窒素(Nitric Oxide)と生活習慣病に関する研究を行っています。薗田准教授が編集委員を務める今回の企画では、生物学、病理学、分子生物学、生化学、医学、疫学などの分野の6つの英文医学雑誌にまたがって“Nitrite and Nitric Oxide in Life”という共通のトピックをテーマとして論文募集を開始しました。
この企画を研究者の皆様に広く知っていただき、オリジナルの研究論文やレビュー論文を投稿していただけると幸いです。

詳しくは以下のサイトをご参照ください。
Nitrite and Nitric Oxide in Life (mdpi.com)

企画概要
ヒトを含め多くの生物は、進化の過程でエネルギー(アデノシン三リン酸:ATP)を得るために酸素を主要な電子受容体に選びました。代わりに酸素がない緊急時(虚血下)では、生命維持のために硝酸/亜硝酸を電子受容体としてATPと一酸化窒素 (NO) を産生するシステムを温存してきました。しかしNOの産生は緊急以外の日常生活においても血管保護や血流の維持、感染症やがんの予防、運動能力向上などの働きがあることが証明されています。
私たちの体では、血管などの細胞がNO合成酵素によりNOをつくり、全身に供給していますが、加齢や糖尿病、高血圧などに伴う動脈硬化が進行すると、NOがつくられずこれらの疾患の予後を悪化させることがわかっています。我々は、このNOを体の中で食事や運動する筋肉などでつくることができます。野菜などの食事を介して、唾液中に分泌される硝酸が消化管で亜硝酸やNOへと還元される経路です。これを腸管唾液/硝酸/亜硝酸/NO経路(Enterosalivary/nitrate/nitrite/NO pathway)といいます。この経路を活性化する食事や運動習慣は、加齢や動脈硬化により低下したNOの産生を代償することができ、生活習慣病予防などに有効であることが証明されつつあります。
今や、この研究分野は心臓血管系、筋骨格系、神経伝達系、消化器系、および免疫防御システム系など、様々な医学分野に密接に関与し疾患の治療や予防への適用のみならず、Quality of life (QOL)向上へと展開しつつあります。このトピックでは、これら様々な研究分野(6つの分野を代表するジャーナル)に関わる研究者が「Nitrite and Nitric Oxide in Life」という共通のテーマから研究成果を公表し、更なる新しいアイデアの提案に発展することを目的とする企画です。