この賞は学会創始者の名誉会長・片方善治氏の名を冠する賞で、長年の研究・教育活動と学会での学術的貢献が評価される賞です。

今回の受賞は、「メディアの実務経験を活かした放送メディアの理念・行動・表現に関する研究を行い情報文化学の進展に貢献した」として受賞したものです。

磯野教授はテレビ局に勤務の傍ら、学術研究に取り組み、2009年名古屋大学で博士号を取得後、2012年に金城学院大学に教授として赴任しました。これまでに、著書20冊、論文16本、学会研究発表25回など、実務家教員としては異例の研究業績を上げたことや、学生への高度な学術的指導についても併せて評価されたものです。磯野教授は2015年に同学会の「学会賞」も受賞しており、学術分野での表彰は2度目となります。

磯野教授を学問の道へと導いた、水谷研治名古屋大学客員教授(元UFJ 銀行専務)は、
「アカデミック一筋の研究者にも勝る研究業績と、何よりも学生への熱血指導でも多くの成果を上げた。アナウンサーの頃から存じ上げているが、ジャーナリストとしても一流の業績があり、業務と研究の二足の草鞋を履いていた頃の努力には敬服していた。今回の受賞でこれまでの努力が大いに報われたと思う、金城学院大学という素晴らしい環境の中で力を発揮できたことだと思う」と賛辞しています。

磯野教授は、「東北被災地と地域メディア研究」「沖縄米軍基地環境汚染問題」「パブリックスピーキング手法」等の研究を続けており、学生指導ではゼミ生と共に、毎年取材現地を訪れヒアリング調査などを継続しています。今年は沖縄海兵隊米軍基地キャンプ・フォスターを取材し、環境汚染問題の米軍側の対応や基地内の情報共有化問題の調査報告と、東北被災地の復興状況について学会で研究発表しました。

この他、海外ではインドネシア・ムハマディア大学との学術文化交流や、韓国のスンミョン女子大学、韓南大学での取材や授業を始め、大リーグキャンプではエンジェルスの大谷翔平選手を取材するなど、グローバルな活動も行ってます。

今回の受賞について磯野教授は、
「ゼミ生に現地・現物・現在を観察し、社会や人間の変化に注視するよう指導して来た活動がこの表彰につながった。ゼミ活動に対する受賞でもあり、学生に感謝している。学生時代に師事した外交評論家・小山房二先生(産経新聞論説委員)からの教えを常に忘れずに、これまでの活動を続けている。小山先生はニュースを伝える人間は、常に現場を取材する事の必要性を説いていた。現場にも行かずスタジオでコメントする偽物のニュースキャスターになってはいけないと常に指導されていた。私はニュースキャスター時代も大学の教員になってからも、常に現場取材を欠かさないように努めている。小山先生のご指導に改めて感謝申し上げる」と語り、ゼミ生と亡き恩師への感謝の意を表しています。

磯野ゼミでは卒業時の総代(学部成績1位)と学部長表彰(成績2位)で表彰を受けたゼミ生がこの10年間に8名、優秀論文・制作賞受賞が8人いて、学会での学生による研究発表は合わせて10回に及ぶなど極めて顕著な実績を残しています。

この点について情報文化学会本部特別参与の森田富士男氏は、
「磯野教授の取り組みは、研究と教育活動が見事にマッチングしている。その効果が学生たちの素養を引き出し学術研究に反映されている。テレビ局での多方面に渡る取り組みが、余す事なく研究・教育活動に活かされ、知の実践に結び付いた。どのような指導をしたら、このように華々しくも価値のある実績を上げられるのか、学会の審査の中でも話題になった。教育者としての磯野教授の取り組みと、その情熱溢れる指導には驚かされている」と語っています。

磯野ゼミでは正式な3・4年ゼミ生の他に、1・2年生を対象にした自主ゼミも開催しており、ここには他学部の学生も参加、先輩と後輩の絆も結ばれるなど活発な活動を展開しています。