国際情報学部 磯野ゼミ4年生
左:風岡真白さん 右:田畑有菜さん

国際情報学部・磯野正典ゼミ4年生の風岡真白さん、田畑有菜さんが沖縄米軍基地の軍事環境汚染問題について研究発表をしました。この問題はここへ来て各務原市や豊山町でWHOが発癌性を指摘した有機化合物(PFOS ・PFOA)の流失による水質汚染が発覚した事から、当地のみならず、全国各地で同様な事例が続発し、にわかに注目を浴びている水質汚染問題です。

磯野ゼミでは2013年から沖縄米軍基地問題を研究テーマとしており、過去二度に渡り米軍基地に入っています。ゼミでは今回この問題が注目される以前から、有機化合物(PFOS ・PFOA)による沖縄米軍基地周辺の水質汚染をテーマとして取材活動を行うと同時に、その成果を学会や学外で発表しています。

今回の発表会では昨年、ゼミ生が沖縄米軍キャンプフォスターに入構し、基地に所属する米軍の将校と下士官へ直接ヒアリングした内容をメインに研究成果を発表しました。

中日新聞本社社会部 下條大樹記者

当日は、CBCと中日新聞が取材に訪れ、CBCは12月7日の17:00から「ドラ魂キング・なぜ何、ニュース解説」の中で、今回の発表について論説室の後藤克幸特別解説員が報告しました。中日新聞社会部の下條大樹記者も取材され、二人に質問をしていました。いずれも今回の米軍基地での磯野ゼミ生の取材活動や、これまでの一連の調査取材を高く評価すると共に、いち早くこの問題に着目して研究を行い、各地での研究発表を行なっている点が賞賛されました。

ゼミ生はこれまでに中京大学現代社会学部の「メディア特論」という授業で同様の研究発表をおこなったり、現地沖縄県那覇市でも地元の人達を対象にした研究発表会を開催しています。また、大同大学情報学部の中村裕哲准教授がこれらの活動を評価し、授業で取り上げています。

米軍基地の取材では「沖縄タイムス」の垣花きらら記者、フランスの通信社「ルモンド」のメスルーメ・フィリップ記者からも取材を受けており、現地沖縄や世界へのニュース配信となりました。過去に本学非常勤講師としてゼミ生に同行、沖縄基地問題を取材し、今回の発表会に同席した元テレビ愛知ニュースキャスターの森政勇さんは「現場に足を運び直接取材する一次情報の重みと、訴求力の強さを物語る好例だ。取材した個々の事象にとどまらず、当事者の言葉の裏側に潜む心情まで深く考察したものとなった。」と二人の発表を評価しました。


左:風岡真白さん 中央:田畑有菜さん
右:磯野正典教授

指導に当たっている磯野正典教授は、「不可能と思われた米軍への取材を風岡ゼミ長が粘り強く交渉し、ついに米軍司令部から許可を得た。基地内で米軍の人達と個別に接触し、この問題についてヒアリングを行ない重大な事実を掴んだ。そして、その中にこの問題に関する米軍と沖縄の地域の人達との共通認識を発見し、解決に向けた一助を導き出した事は高く評価できる。最近はこのような社会問題に関心を持つ学生が激減している中、研究発表を行なった事は、後輩学生に大きな刺激になると思える」と話しています。
また、教授は「沖縄の人達にヒアリングを行い、その中で多くの人から、この問題を本土の皆さんに伝えて欲しい、というメッセージを受け取り、研究発表などでその思いをきちんと実行している事が素晴らしい。単なる学術研究ではなく、研究によって導き出された課題の一つを解決に向け自ら実践している。」と語りました。

発表を行った二人は、今後、これらの研究成果を風岡さんは卒業論文に、田畑さんは卒業制作として纏めると共に、一般への周知活動など、この問題について幅広く活動して行きたいと話しています。

磯野教授の指導を受けたゼミのOGの多数が、マスコミ業界(NHK・フジテレビ・東海テレビ・CBC・青森朝日放送・東京キー局制作プロダクション・電通・博報堂・大広)で活躍しています。二人はこれらの人達にもOG会を通じ、今回の研究成果を報告する事を視野に入れています。そして、卒業後は共にマスコミ業界に就職する事から、今後の更なる活躍が期待されています。

沖縄米軍基地キャンプフォスターで取材する磯野ゼミ11 期生

 

辺野古基地反対運動テントで仏通信社・ルモンドのメスルーメ・フィリップ記者から取材を受ける様子