2023年12月9日(土)~10日(日)、「第43回日本看護科学学会学術集会」が、山口県下関市にて開催されました。日本看護科学学会は1981年に発足され、現在9000名を超える学会員数となり、看護学の発展に寄与すべく躍進しています。

今年度のテーマ「未来を拓く看護のサイエンス&アーツ:伝統と革新の融合」のもと、4年振りの対面での学会ということも相まって、大変盛況でした。本大学看護学部でも多くの教員が発表しましたので報告いたします。

体験から気づきを得る模擬患者参加型のコミュニケーション教育

看護学部では、体験から気づきを得る模擬患者参加型のコミュニケーション教育を重視しています。阿部惠子教授の研究グループでは、看護基礎教育におけるコミュニケーション能力の向上に関連する共同研究に取り組んでいます。コミュニケーション能力とOSCEの結果をまとめた内容の3題を発表しました。
(共同研究メンバー:阿部惠子、松田武美、水野妙子、伊藤眞由美、田中希代子、久保あゆみ、加藤まり、秋山優美、中村恵理、柴田年広)

緊張の中で堂々と発表することができ、水野妙子講師が発表した演題が、優秀演題口頭発表賞を受賞しました。

〇発表演題
・水野妙子講師 「看護基礎教育における初年次学生のコミュニケーション能力と性格特性との関連」
・阿部惠子教授 「Relationship between communication abilities and performing living-support skills
         on the 1st year nursing students: by evaluating Nurse OSCE」※English session
・松田武美講師 「初年次看護学生の生活体験とコミュニケーション能力の関係~看護OSCEによる評価」

研究にご協力いただきました学生の皆様、模擬患者の方々に、心より感謝申し上げます。
領域を超えた看護論文抄読会の試み -教員の研究力・教育力を高めるために-

看護学部では、2022年12月から有志の教員が毎月文献抄読会を開催しており、プレゼンターが選択した文献を用いてディスカッションを行う時間を設けています。これまでに用いた文献は約10本で、その半数は英語論文を取り上げています。
この度その取り組みを交流集会にて「領域を超えた看護論文抄読会の試み-教員の研究力・教育力を高めるために-」とし9名の教員が代表し発表を行いました。

秋山助教・堀口助手が座長をつとめ、上杉教授による本抄読会の始動させた背景や意義について説明されたのち、①教員の研究力を高める(李助教)、②教育力を高める(柴田助手)、③「英語文献の壁を乗り越えるために(中村助手)」、④「多領域で交流する意味(清水助教)」、⑤「実際紹介された2事例の論文と意見交換の概要(山本助教、福嶋助教)」⑥「まとめと今後の展望(堀口助手)」の内容で発表を行いました。参加者の皆様には発表資料にアクセスできるQRコード入りのカードを配布し、手持ちのデバイスで確認できるようにしました。
約50名の参加者と活発な意見交換が交わされ、文献抄読会の取り組みやその効果について伝えることができました。

この度の、抄読会で得た学びは、今後の学生への教育に活かしていきたいと考えています。

ビネット調査を用いた看護大学生の虐待の認識に関する研究 -新入生と2年生の比較-

福嶋美貴助教(共同研究者 田尻助教、久保助教)は「ビネット調査を用いた看護大学生の虐待の認識に関する研究ー新入生と2年生の比較ー」のテーマで口頭発表いたしました。看護大学生の新入生と2年生の虐待に対する認識の違いについて調査し、2年生の方が虐待への認識が高い結果となりました。2年生は、これまでの学習により子どもに及ぼす影響を想像する力が高いことが示唆され、今後はあらゆる領域で権利擁護について学習の機会を提供することの重要性が示されました。

コロナ禍における新人看護師教育に関する文献レビュー

秋山優美助教は、「コロナ禍における新人看護師教育に関する文献レビュー」のテーマでポスター発表を行いました。新人看護師の教育は、臨床がコロナ禍という状況であることを多方面から捉え、試行錯誤を繰り返し工夫した教育を実施していることがわかりました。