6月30日(土)に本学で開催された第64回日本薬学会東海支部大会にて、薬学部5年生藤井理紗子さん(福石研究室)と薬学部4年生富永サラさん(前田研究室)がそれぞれの研究発表で学生優秀発表賞を受賞しました。
第64回日本薬学会東海支部大会では化学系、物理系、生物系、医療系それぞれの専門分野ごとに主に薬学部教員が審査員となって学生の口頭発表を発表スキルと研究内容との両面から審査をします。
藤井さんは「肥満細胞の分化や機能発現におけるABCA7タンパク質の役割について」というタイトルで発表を行いました。肥満細胞はアレルギー反応の中心的な役割を果たしている細胞です。従って、肥満細胞の成り立ちや細胞機能調節を行うしくみを明らかにすることができれば、根本的なアレルギーの治療の手がかりになります。今回の研究では、肥満細胞に存在するABCA7と呼ばれるタンパク質が肥満細胞の機能を調節する重要な役割を担っていることを明らかにしました。この知見を応用すれば、アレルギーの新たな治療法が確立できるかもしれません。
富永さんは「投与時刻に着目したシスプラチンによる急性腎障害の検討」というタイトルで発表を行いました。シスプラチンは抗がん剤として広く使用される医薬品ですが、その一方で副作用として急性腎障害を引き起こすことが知られています。今回の研究ではマウスにシスプラチンを投与し、投与時刻による影響を評価したところ、投与時刻が変わると致死ならびに腎障害の発現の程度が異なることを見出しました。この研究は人においても同様のことが考えられ、適切な投与時刻の設定により、シスプラチンの副作用の軽減が期待できる可能性を示したものです。
金城学院大学薬学部は、このような基礎のサイエンスから医療現場における研究まで、幅広い視点で研究を進め、それを学生の教育に還元し、サイエンスのできる薬剤師を育てています。
表彰式後、懇親会にて来賓の奥村学長と藤井さん・富永さん