式辞 学長 奥村 隆平
新入学生の皆さん、金城学院大学へのご入学おめでとうございます。心からお喜びを申し上げます。ここに文学研究科、人間生活学研究科、文学部、生活環境学部、国際情報学部、人間科学部、薬学部を合わせて1,289名の方々をお迎えし、入学式を挙行できますことを心から嬉しく思っております。本日は、新入学生の皆さんだけではなく、父母会の会長様をはじめ役員の方々、さらにみどり野会の会長様もともにここに集まってくださっています。また、会場にはご父母の皆様や新入生の関係者の方々も参列して下さっております。ありがとうございます。
ご父母の皆様や関係者の方々には心からお喜びを申し上げます。
さて、金城学院の建学の精神を要約すると、「福音主義キリスト教に基づく全人的女子教育」ということになります。そして、そのキリスト教で最も大切な教えといえば、「神と人とを愛しなさい」という愛の教えです。
ところがこの愛の教えは誤解されやすいのです。といいますのは、日本語の「愛する」という言葉は、好ましいから愛するのだというニュアンスや、「愛する自由もあれば、愛さない自由もある」というような利己的な性格をも持っています。そのためキリストの教える本来の愛の姿が伝わらない恐れがあるのです。
そこで、「愛する」を「大切にする」と言いかえて、愛の教えを述べてみましょう。すると、
「わたしは、心から神様を大切にします。」
「わたしは、心からお父さんを大切にします。」
「わたしは、心からお母さんを大切にします。」
「わたしは、心から先生を大切にします。」
「わたしは、心から友だちを大切にします。」
そして、
「わたしは、心からわたし自身を大切にします。」
となります。どうでしょうか。愛の教えについて少し違ったイメージが得られましたでしょうか。本学では、教養や専門知識だけでなく愛の教えをも身につけていただきたいと思っています。
そして、神様を大切にする第一の行いは礼拝です。金城学院大学では、毎朝、エラ・ヒューストン記念礼拝堂で行われる礼拝はもとより、すべての式典や会議は礼拝の形式をとっています。今、皆さんが参加している入学式も礼拝なのです。新入生の皆さんにとって金城学院大学における最初の礼拝が入学式なのです。これからも在学中の様々な場面で礼拝に出会うことでしょう。
先ほどエラ・ヒューストン記念礼拝堂にふれましたが、この礼拝堂は2014年3月に竣工した比較的新しい建物です。現在、金城学院大学では、KMP21とよばれるキャンパスの大規模リニューアルが進行中です。皆さんは新装なったキャンパスで学ぶことができるのです。大変、運がいい。大いに学んでいただきたいと思います。
ここで大学で学問を学ぶという事について述べておきたいと思います。大学で学ぶ学問は本来易しいものではありません。先人が時間をかけて得た知識や、苦労して作り上げた理論を体系的にまとめあげたものですから、過去の知性の結晶といってよいものです。簡単に取り付けるものではありません。
しかし、そのような学問が易しいと感じる時があります。それは、直面している学問内容が理解できた時です。なるほど分かったぞと感じた時、学問は難しいものではなく、面白いものに変わるのです。もちろん、大学に入学してすぐに学問内容が理解できるものではありません。
ところが、大学には学問をすでによく理解している人たちがいます。いうまでもなく、皆さんを指導する立場の教員、先生たちです。先生たちは、学問内容をよく理解しているので易しく教えることができるのです。
劇作家井上ひさしは、作品を書く上で、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと。」という言葉を自戒の言葉としておりました。
私は、これは教育の場でも通用する考えではないかと思います。少し言いかえてみますと、学生と教員が力を合わせて、「難しいものを易しく、易しいのだから面白く、面白いのだからもっと深く」といった姿勢で学ぶことができるのではないでしょうか。金城学院大学の学びの場がそのようなものであってほしいと思います。
本学は優秀な教授陣、親切な事務スタッフを擁しています。この恵まれた環境で勉学し、高い専門知識、広い教養、そして的確な技能を身につけていただきたいと思います。これらは社会に出て行った時の大きな力になるはずです。
皆さんには希望と未来があります。確かな未来を信じ、生き生きとした希望を持って、これからのキャンパス生活を歩んで行っていただきたいと思います。
ご入学、本当におめでとうございます。