『東日本大震災と地域メディア研究10年の軌跡 ~金城学院大学・磯野正典研究室プロジェクトチームの記録~』
国際情報学部 国際情報学科 磯野正典研究室では、東日本大震災から10年目を迎える本年3月11日に、書籍を出版することになりました。
磯野研究室の学生は震災発生後の2012年4月から、震災の現状と復興に向けた取り組みを、地元メディアなどの活動を通して調査研究を行なって来ました。
2021年2月13日には、大震災から10年近くを経ても、非常に大きな余震が発生するなど、未だ被害が発生している状況に鑑み、震災の風化のみならず、災害の恐ろしさや影響を忘れずに、貴重な教訓として活かしていく事が必要だと考えています。
書籍の内容は、これまでの研究活動について、研究論文・研究発表・情報文化学会賞などの概要、卒業研究として取り組んだ論文の紹介、参加学生プロジェクトメンバーによる被災地訪問手記、現地関係者とOGによる評価と総括、そして、学内の優秀論文賞を受賞した以下の論文を掲載しています。
速水里彩(東海テレビ勤務)/「被災地に於ける地域メディアの現状と課題~石巻日日新聞の事例から~」
田中美有(トヨタ自動車勤務)/「災害復興に於けるスポーツ振興の意義~コバレトーレ女川の現状と課題~」
金本唯(パーソルキャリア勤務)/「東日本大震災に於ける被災女性の支援に関する ヒアリング調査」
梅村真由(星野リゾート勤務)/「地域防災情報発信の取組と検証~山梨県南部町におけるFM告知端末の情報伝達効果~」
荒川紗希(NHK青森放送局勤務)・稲葉遥(CBCクリエーション勤務)/番組制作「故郷を求めて 原発事故から7年、女子大生の視た福島」
本書は、新日本法規出版から3月11日に全350ページで出版されます。10年間に渡り、100名を越す学生と関係者による調査研究と総括の記録です。
近江弘一・平井美智子・武内宏之(石巻日日新聞)、大川和毅 (岩手大学教授)、佐々木鉄男(元仙台放送・ 仙台大学教授)、中村祐哲(愛知学院大学ビジネス科学研究所研究員)、小栗真弥 (名古屋大学大学院)の皆さんが寄稿されています。
出版プロジェクトを担当した担当した3年ゼミ長の足立清歌さんは「この本には10年間の研究として東日本大震災をあらゆる角度から見つめています。現在でも問題は山積していますが、これからの東北も見届けていきたいです。」、阿部桃子さんは「ゼミの先輩方が積み上げてきた、研究成果の集大成に関わることが出来て大変光栄です。この本を通じ学んだ事を、自分自身の研究にも活用したいと思います。」、金森成美さんは「私たち学生が自らの足で被災地に行き、見て、触れて、感じたことが詰まっています。震災に節目などないということを、この書籍から少しでも知って頂きたいです。」と、今回の取り組について話してくれました。
ゼミOGは出版にあたり、以下のコメントを寄せてくれました。
速水里彩さん(ゼミ1期生、現・東海テレビ勤務)
「10年が経った今も1万4千回を超える余震。この巨大地震は、いまだ収束していません。震災発生からどのように被災地が 歩んできたのか。復興とは何なのか。あらゆる学生が取材しています。ぜひ手に取って頂きたいです。」
若宮遥さん(ゼミ3期生、現・ヤマザキマザック勤務)
「私にとって現地での取材経験は忘れることのない貴重な体験です。本書籍は研究室の皆さんが積み重ねた研究の集大成ではありますが、同時に地震の怖さ・備えの大切さも多くの方に感じて頂ければと思っております。」
荒川紗希さん(ゼミ5期生、現NHK青森放送局勤務)
「東日本大震災は、多くの人の価値観を変えました。原発の問題点についても理解を深めたのではないでしょうか。この書籍を通し、人々の苦難に節目などないということを知っていただきたいです。」
梅村真由さん(ゼミ8期生、現、星野リゾート勤務)
「東北の被災地訪問が起点となり、私は情報伝達がどのような場面でも重要であるという知見を得ました。本著は紛れもなく多くの世代の学生たちが向き合った知見の集大成だと感じて頂けると確信しております。」
2011年の震災直後から現地の取材・調査を行なっている磯野正典教授は、「震災発生からあっという間の10年であった。この間、大きく変化した事や、逆に変わらない事、新たに生まれている問題など、被災地は今も変容している。多くの学生が現地・現物・現在をつぶさに観察して考察した研究の結果は、情報文化学会賞や学内表彰を受けるなど多くの成果を残すことが出来た。また、石巻日日新聞、仙台放送、エフエム石巻等現地メディア、石巻市・女川町の行政・教育・医療関係者、更にボランティア、地域住民の皆さんには多くの示唆を賜った事に心から感謝している。この本を贈呈して10年間の謝意を表したい。また、本年4月でゼミもちょうど10年目を迎え大きな節目を迎えて感慨深いものがある」と語っています。