この写真、ジャノヒゲという植物の花です。「麦門冬(バクモンドウ)」という生薬の基原植物です。皆さんが知っているはずなのに薬用植物だと気がついている人が意外と少ない植物のひとつです。いま花盛りの季節になりました。写真に写っている細長い葉の幅は5 mm足らず、花の直径も1 cm足らず。ユリ科の植物です。花盛りとはいえ、こんもりした葉の間に埋もれてしまって、よっぽど気をつけてみないと花を見逃しそうですね。それでも、ユリと同じ形のミニサイズの花が可憐に咲いています。

 

 さて、「ジャノヒゲ」についてです。花壇や植え込みの縁の方に葉っぱの細長いこんもりとした植物が植えられてえいることがありますが、それです。そう、モリゾウの頭みたいなやつ。ホームセンターの園芸コーナーで「玉竜」という名前で売られていたり、もうちょっと葉の幅の広いのが「龍のひげ」という名前で売られたりしていますが、それらは園芸用に改良されたもので、それの原種にあたる植物です。地下に細長いひげ根があるのですが、その途中が紡錘形に膨らんでおり、その部分が薬になります。「麦門冬(バクモンドウ)」という名前で咳の薬になります。漢方薬で喘息の方によく処方される「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」という処方がありますが、その主薬になります。 ジャノヒゲは意外と身近なところにある薬用植物の1つです。