2010年02月01日 (月)

今日のお題:書評「布引敏雄著『長州藩維新団―明治維新の水平軸』」(『部落解放』2010年3月号、70?73頁)

「おわりに」のあたりで、

本書は「水平軸」という分析枠を用いて、「諸隊に内在する人民的エネルギー」(九三頁)を明らかにしようとしたものである。たとえ権力側にとって屠勇がみずからのヘゲモニー(「垂直軸」)を確立する手段でしかなかったとしても、それに応えられるだけの「エネルギー」を彼らが有していなければ、維新団は成立しえなかったであろう。本書はいわばその「エネルギー」の存在証明であり、その思想的実態――とくに国学との関わり(五八?五九頁)――については、残された史料の制限を乗り越えて、今後より明確になっていくことであろう。そしてそれは同時に「解放令」に対する評価――解放の終着点なのか、出発点なのか――という近代日本の問題にもつながっていくに違いない。

と書きました。

国学を、どういった形で理解すべきか、神胤観念との絡みで考えてもかなり難しいなぁと自分の課題を述べていたりいなかったり。

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