今日のお題:桐原健真「民間社会事業と「公」:渋沢栄一を中心に」(東アジア文化交渉学会第11回年次大会、ドイツ・フリードリッヒ=アレクサンダー大学・エアランゲン=ニュルンベルク、2019年05月12日)
桐原健真「民間社会事業と「公」:渋沢栄一を中心に」要旨
本発表の目的は、著名な実業家であり篤志家である渋沢栄一(しぶさわ・えいいち:1840〜1931)を通して、近代日本の民間における社会事業の特色を明らかにすることである。近代日本における民間社会事業の思想と実践は、たんに西洋からもたらされた思想だけでなく、19世紀初頭以後から変容した「公」の概念にも起源を有している。こうしたことを明らかにするために、本発表では、最初に、日本の歴史における「公」言説について、中国の思想――とりわけ儒学――との関係でその概要を述べることとなろう。
日本語においては、しばしば、「公」の意味するところは、「政府なるもの」とおなじであった。しかしながら、徳川時代の後期における儒学に対する理解の深まりは、「非政府的」という意味での「公」の概念を、知識人のあいだに流布させていったのである。こうした知的空間において、渋沢は、みずからの思想を形成していったのであり、それは彼の社会事業活動における基本的な考え方の一つともなったのであった。
発表資料
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第一報告・二宮尊徳の民間事業の思想_ハンドアウト
本発表の目的は、著名な実業家であり篤志家である渋沢栄一(しぶさわ・えいいち:1840〜1931)を通して、近代日本の民間における社会事業の特色を明らかにすることである。近代日本における民間社会事業の思想と実践は、たんに西洋からもたらされた思想だけでなく、19世紀初頭以後から変容した「公」の概念にも起源を有している。こうしたことを明らかにするために、本発表では、最初に、日本の歴史における「公」言説について、中国の思想――とりわけ儒学――との関係でその概要を述べることとなろう。
日本語においては、しばしば、「公」の意味するところは、「政府なるもの」とおなじであった。しかしながら、徳川時代の後期における儒学に対する理解の深まりは、「非政府的」という意味での「公」の概念を、知識人のあいだに流布させていったのである。こうした知的空間において、渋沢は、みずからの思想を形成していったのであり、それは彼の社会事業活動における基本的な考え方の一つともなったのであった。
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第一報告・二宮尊徳の民間事業の思想_ハンドアウト