2015年02月18日 (水)

今日のお題:桐原健真「大局を見通し、日本を守る…全国周遊から得たもの」、『歴史街道』2015年03月号、2015年、86〜91頁

なんで松陰はこんなに有名になれたのかなぁということを、久しく考えております。

正直な話、象山やら小楠やらに比べると松陰の思想家としての深みというのは、ややもの足りないと申さざるを得ません。まぁ、30歳で無くなってますんでそこは無い物ねだりとも申せます。
佐久間象山「省諐録」1854年
予年二十以後は、乃ち匹夫の一国に繋るあるを知る。三十以後は、乃ち天下に繋るあるを知る。四十以後は、乃ち五世界に繋るあるを知る。

という域に達するには、やはり40は越えないといけないのですな。と、先日、ついに40になった男が言いますよ。

で、話を元に戻しますと、松陰が有名になった理由についての単純な答えとしては、

「弟子が偉くなった」

ということが考えられます。

で、この路線で、松陰の教育者としての資質であるとかが説かれたりするわけですが、さて、果たしてそうなのかなぁと思ったりもします。

それよりも、国内外の情勢を体系化して把握して見せたというのが、大きいのではないかと考えています。つまり、「帝国日本」という西洋諸国にすら承認された自己認識を徹底的に考え抜いた結果、日本の元首は他ならぬ皇帝としての天皇であることに行き着き、この原則をもって、日本の独立(攘夷)と同時に政令一途(尊王)という二つの位相の異なるイデオロギーを、1850年代において結合させることができたというのが、松陰思想の特筆すべき点なんだろうと思う次第。

国内主権と対外主権は唯一者において統一されなければならないという思考は、1860年代には一般化するわけでして、
「薩土盟約」1867年
方今皇国の務め、国体・制度を糺正し、万国に臨て恥ぢず、是れ第一義とす。其の要、王政復古、宇内の形勢を参酌し、天下後世に到て猶を其の遺憾なきの大条理を以て処せん。国に二帝なく家に二主なし。政権一君に帰す、是れ其の大条理。我が皇家、綿々一系、万古不易、然るに古郡県の政変じて、今封建の世(カ)と為る、大政遂に幕府に帰す。上皇帝在るを知らず。是れを地球上に考するに、其の国体・制度、茲くの如き者あらん歟。然らば則ち、制度一新、政権朝に帰し、諸侯会議・人民共和、後ち庶幾以て万国に臨て恥ぢず。是こを以て初て我が皇国の国体、特立するものと云ふべし。

なんてのは、一つの終着点なのかなぁと。しかし、「大政委任なんてのは、世界に恥じたる政体である」なんてのは面白いですな。

2015年02月16日 (月)

今日のお題:『河北新報』の「新書選書」で河野有理先生に拙著をご紹介戴きました

『河北新報』(2015年02月16日朝刊)の「新書選書」で、河野有理先生に、拙著をご紹介戴きました。

というか、『南日本新聞』にも2月1日に同じ記事が載ったようですが、こういうのは、地方紙によくある共同通信による配信記事なんでしょうな。

とはいえ、東北の雄である『河北新報』に掲載されたことは、なんとも感慨無量と申しますか、故郷に錦を飾った感が無いわけでもなく、まことにうれしい限りです。

しかし、フーテンの寅さんから吉田寅次郎に飛ぶ筆法は、見習いたいところでございます。なんか夢想したことはありましたが、なるほどそういうシークエンスなのねって感じです。

2015年02月15日 (日)

今日のお題:『朝日新聞』新書紹介覧で拙著をご紹介戴きました

2015年02月15日付の『朝日新聞』で、拙著をご紹介いただきました。

吉田松陰 「日本」を発見した思想家 - 著者 桐原健真 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト
http://book.asahi.com/book/9784480068071.html

曰く、
当初、長州藩にとどまっていた松陰の視点が、「西洋」を意識し水戸学者と交流する中で、「日本」へと転じる。やがて日本の「国体」を堅持しつつ「五大洲公共の道」という普遍に開くことにたどりつく。彼の「雄略」という志向が、侵略主義というよりは日本の独立性確保と通商活動を目指したものであることも明らかにする。

とまぁ、まことに要領よくまとめて戴き、なんとも感謝の念に堪えません。そうか、あの本はそういう本だったのか>オイ

2015年02月08日 (日)

今日のお題:『毎日新聞』の「今週の本棚」で、磯田道史先生に拙著をご紹介戴きました

『毎日新聞』の「今週の本棚」で、磯田道史に拙著をご紹介戴きました。

今週の本棚:磯田道史・評 『吉田松陰−「日本」を発見した思想家』=桐原健真・著 − 毎日新聞(2015年02月08日)
http://mainichi.jp/graph/2015/02/08/20150208ddm015070003000c/001.html

なんでも、「松陰の「思想遍歴」を追って論じた思想史の本であり、この本を読めば、松陰が、どのようにして松陰になったのかがわかる」そうで、なんとも過分のお言葉をたまわり、まことに難有い限りでございます。

1/1