Tekkotsuとは

前のページ
目次
次のページ


Tekkotsu(鉄骨)とは、米国のカーネギーメロン大学(CMU)が開発した「AIBOのプログラムを開発するためのフレームワーク(枠組み)」です。

Tekkotsuの説明の前に、OPEN-Rについて説明しましょう。
OPEN-Rは、ソニーが開発したAIBOプログラミング環境です。OPEN-Rを使用することで、AIBOのセンサ(カメラや触覚など)の情報を処理し、頭や足の関節を動かすことができます。

しかし、OPEN-Rは複雑で難しく、理工系の大学院生レベルの能力を必要とします。また、プログラムの開発・修正には相当の時間を必要とします。
つまり、皆さんのような文系の学生にとってはOPEN-Rは難しすぎるのです。

そこで登場するのが Tekkotsu です。

TekkotsuはOPEN-Rに比べると、次のメリットがあります。

これはホントです。
では、なぜ、そんなことができるのか? それを示したのが次の図です。


 OPEN-Rでは、AIBOのセンサ、カメラ、モータの処理プログラムをプログラマが自分で書く必要がありました。 これらの処理プログラムは、とても複雑で細かくC++上級者でないと難しいのです。

 一方、Tekkotsuの場合、これらの複雑で細かい処理プログラムはTekkotsuに内蔵されています。 ですから、プログラマの負担が軽くなるのです。C++上級者でなくてもAIBOを動かすことが可能です。

 例えば、OPEN-RだけでAIBOを歩かせるためには、次のようなプログラムを書く必要があります。
  ・足の関節角度をセンサで検知する。
  ・目的の場所に足先を着地させるために、足の関節を何度曲げればいいかを計算する。
  ・4本の足を動かす順番を制御する。
  ・センサから検知した角度と、モータを動かす命令を連動する。
この他にもいろいろな計算プログラムが必要で、物理や数学の知識も必要になります。

 しかし、Tekkotsuには、すでに歩行のためのプログラムが内蔵されており、プログラマは歩行の速度と方向を 指定するだけで、すぐにAIBOを歩かせることができます(もちろん、歩行プログラム自体を卒業制作にしたい場合は、 Tekkotsuを使わずに、OPEN-Rだけで作り始めることもできます)。

Tekkotsuが開発された経緯:
 米国カーネギーメロン大学(CMU)でロボット工学を学ぶ学生達は、AIBOを使ってロボカップ(ロボットサッカーの国際競技)に出場するために、速く簡単にプログラムを開発しなければなりませんでした。そこで、CMUの学生達は、OPEN-Rを拡張したプログラムを開発したのです。開発したプログラムのおかげで、CMUはロボカップの常連チームになり、さらに優勝することもできました。ロボカップでは、優勝チームの義務としてプログラムを公開することになっています。理由は、ロボカップの目的が、技術を公開することにより、世界のロボット技術を発展させることだからです。ですから、世界中の開発者が優勝チームのプログラムを参考にして、改良を重ねて新しいプログラムを開発します。このようにして、ロボット技術とロボカップのレベルは年々進歩しています。Tekkotsuはロボカップ優勝プログラムを元に作られています。例えば、Tekkotsuに内蔵されている歩行プログラムはロボカップで優勝したときのプログラムです。OPEN-Rだけの場合、歩行プログラムから作り始める必要がありますが、Tekkotsuの場合、歩行プログラムが内蔵されているので、それを利用するだけですみます。このようにして、Tekkotsuでは、文系の学生でもプログラムを作ることができるようになりました。


前のページ
目次
次のページ